期間
表参道ヒルズ店 12月18日(水)~1月22日(水)
サトウヒトミ写真展Mirageを表参道ヒルズ店にて開催いたします。
Mirage
記憶に漂う景色は
ふとした瞬間に
はっきりと見えたり
幾重にも重なって見えたり
目の前で掴めるような
遠眼鏡で見ているような
遠近感も重力もない
蜃気楼のようなもの
幼い頃に身近にあった景色は
いまだに野山の色や匂い、草花や土の手触りと共に思い出される。
父のカメラで多重露光をして遊んでいた頃のことである。
絵の具を混ぜて、複雑な色を作るのも好きだった。
思えば、その延長上で、今こうして、
写真を重ねては架空の風景を作り出しているのかもしれない。
日々撮り溜めた写真を広げて見ると
すれ違った人や景色、旅をした時に交わした会話、街の喧騒や
すっかり忘れそうなこと、忘れたくないことが、ひとときに蘇ってくる。
一枚の写真の中に複数の写真の断片を混在させると
記憶はよりリアルになると感じた。
カメラがあってもなくても、
心揺らいだものにシャッターを切る日常の中で、
それらは記憶の景色の積層となり
いつか可視化されるのを待っている。
その混沌とした記憶が消えてしまわぬうちに
こうして留めておこうと思う。
サトウヒトミ
プロフィール
サトウヒトミ
お茶の水女子大学舞踊教育学科卒業後、日本航空国際線客室乗務員として勤務。
東京ビジュアルアーツで写真を学び、海外のストリートスナップを撮り続けてきた。
コロナ禍をきっかけに、レイヤーを用い異なる時間と場所が接続する「時空を超えたストリートスナップ」の制作を始める。
2018年ZOOMS JAPAN パブリック賞受賞。
主な個展に「Layered NY」(2017年 ソニーイメージングギャラリー)、「Lady,Lady,Lady」(2019年 ソニーイメージングギャラリー、ライカストア横浜、福岡)、「mosaic of feelings」(2019年 ライカカフェプラハ)、「over the window」(2023年 キャノンギャラリー銀座、大阪)など。
作品集に『イグアナと家族とひだまりと』(日本カメラ社)『over the window』(PURPLE)がある。
Instagram: @hitosun