L/Journal
Collaboration Works
Vol.12

Back to the Brand-new Basic

stylist

大日方 久美子

2023.12.27

楽しく、リアルで、わかりやすい!
画期的だった大日方さんのライブ

この12月、hueLe Museumではおなじみの、大日方久美子さんによるインスタライブがあった。POPUPイベントを開催していたうめだ阪急からのライブは今まで以上に大きな反響を呼び、大日方さんが紹介したコートやニットを指名するお客様が相次いだ。そのインスタライブから2日後、大日方さんにインタビューの時間をいただいた。

「今回のインスタライブは、みなさんのご協力で、とても自由にやらせていただきました。筋書きは特に決めず、私の好きなものを、好きな着こなしでどんどん紹介していく形で。
私自身、インスタライブはずっとやらせていただいるので、割と得意な方ではあるんですが、今改めて、自分の好きなもの、本当におすすめなものをきちんとお伝えする方法を模索中。今回のライブは、合わせアイテムをほぼ私物のシンプルアイテムにすることで、お客様の手持ち服の中でhueLe Museumのアイテムがどんなふうに見えるかというイメージを伝えていければ、と思いました」

これが大成功、楽しくわかりやすいライブになり、お客様からの反響も記録的なものに。アーカイブにも残っているので、ぜひチェックしてみて!

アウターはその人の印象や格を決めるアイテム。
いちばんの見極めポイントは“素材”

今回のインスタライブの中で紹介されていたのは冬アウターが中心。毎年悩む、アウター選び、大日方さんのセレクト基準ってどんなもの?
「実は、こう見えて私けっこう保守的なんです。(笑) 慎重に考えて、後悔しないものを選ぶタイプ。アウターは、価格もある程度しますし、面積が大きいからその人の第一印象を決めてしまうものですもんね。

チェックポイントとしては、たとえば“カラー”。
これは持っている靴やバッグの色に合うかどうかを基準にします。アウターは、合わせる小物とのカラーバランスがすごく重要だから。
そして、“丈”。
これはその時のトレンドを多少意識しながらも、手持ちのボトムとのバランスがいいことが決め手。私の着こなしセオリー的には、ミディアム〜ロング丈のコートであれば、『すそから見えるスカート丈は15センチまで』。それ以上スカートが見えてくるとバランスが崩れることが多い気がします。
あとは、“素材”。
もしかしたらこれが一番見極めどころかも。アウターの素材感は、品の良さやクラス感を決めるものだし、長く着られるかどうかも素材次第。できる限り高品質なウールやカシミヤにこだわりたいですね」

新しいものを追いかけることより、
BACK TO BASIC。“好き”に正直でいたい

「実はこの2年くらいで、目新しいファッションを追いかける気持ちが少し落ち着いてきたんです。ファッションに対する価値観がすごく変わってきた。

例えば、以前の私は365日まったく同じスタイリングの日って、1日としてなかったんです。同じスタイリングだと、何か古く見えてしまったり、アップデートできてないって焦ったり。
でもだんだんと気持ちが変化してきて、今は完全BACK TO BASICな気分。
ずっと好きな、自分のベーシックアイテムやテイストに立ち戻って、それをとことん楽しんだり、極めたり。自分にとってのベーシックに対しては、よりクオリティの高いものや長く愛せるものを選びたいと考えるようになりました。

そんな変化の理由は、内面が変わってきたからだと思っています。
最近、年齢や経験を重ねて、自分の心の中に揺るがない芯ができてきました。いろんな判断や選択の場において、自分の回答や価値観に自信や確信を持てるようになってきたんです。以前は、いろんな影響で自分の軸が揺らいだりしたけれど、それがピタッと定まってきた。そんな変化が、ファッションにもすごくストレートに表れて」

ファッションに対する価値観が大きく変わったという大日方さんだが、“ベーシックに立ち止まっているわけではない”と言う。

ベーシックなグレーに立ち戻りながら、
そこから、進化したグレーとの出会いも

「例えば今シーズンのトレンドカラーでもある“グレー”。
私はトレンドには関係なく、エレガントな印象を作れるグレーが大好きで、自分のスタイルを作るベースカラーのひとつです。とくに、ライトグレーは、いろいろなアイテムでひと通り揃えてあるくらい、私にとってのベーシック」

大日方さんにとってのベーシックのひとつであるグレー、今はそれをさらにアップデートしたいと思っているそう。

「ライトグレーよりもう少し濃い、チャコールまではいかない、いわゆるスチールグレーのようなアイテムを少し揃えていきたいな、と思っています。
ライトグレーはワントーンやトーンオントーンでエレガントにまとめることが多いのですが、スチールグレーは他の鮮やかなカラーを合わせる楽しさもある色味。例えばパープルやイエローやブルーなどの明るい色のアイテムを、ぐっと落ち着かせて、上品になじませてくれる効果がある」

ベーシックに立ち戻ることで、アップデートした自分のスタイルとの出会いも楽しめる。大日方さんのBACK TO BASICは、“戻る”という意味だけではなく、“進化する”という楽しさでキラキラ輝いている。

「今シーズンのhueLe Museumにも、ワクワクするようなグレーのアイテムがたくさんあって、今回のインスタライブもすごく楽しかった! 背中心にイエローのラインが入った贅沢なカシミアのロングコートも、大草直子さんも2枚買いしたというカシミア混の横編みニットも、BACK TO BASICでありながら、他には絶対ないひとワザがあるんですよね!」

ベーシック×クオリティ×モード感な服を、
自分の感性に正直に楽しんで

この、ほかには絶対ない“ひとワザ”がSTUMBLYやhLMの服の大きな魅力だと大日方さんは話す。

「STUMBLYがすごいなぁって思うのは、袖を通してみてはじめてわかる、さりげないモード感。丈のバランス、ポケットの位置、意表をつくようなデザインディテール・・・。決して押し付けがましく前面に出てくるのではなく、自然に仕込まれている上品なオシャレ感。とっても着心地がよくて、しかも、どこかなんとなく、今の時代のモードっぽさが漂うんですよね。

hLMは女らしさの見せ方がドラマチックで、かつ、とても知的。メンズの要素をミックスさせるようなテクニックで女性らしさを際立たせながら、めちゃくちゃかっこいい見え方になる。

どちらのブランドも絶妙なデザインや素材選びで、私たちの気分や雰囲気を確実に格上げしてくれる。揺るぎないベーシックと、クオリティの高さと、今の時代のエッセンスの3つの要素が融合されている服なんですよね。
そんなファッションこそ、大人世代に必要なものだし、なかなか他では出会えない!」

新しい自分ベーシックとの出会いを楽しむように、ぜひhueLe Museumの服たちを纏ってみてほしい、と大日方さんは言う。

「トレンドは何?とか、次は何が流行る?とか、もうあまり関係ない時代になってきている気がします。たいせつなのは、自分の感性やワクワクする気持ち。
自分の思い通りにできることなんて、なかなかない。だからこそ、着るものくらい、自分の感性に忠実に選びたいし着こなしたいですよね。好きなものを、好きなように着ることで、その装いは、その人だけのアート作品になるんですから!」

大日方 久美子

Kumiko Obinata

パーソナルスタイリスト
アパレル販売の経験を経て、2013年よりパーソナルスタイリストとして独立。
服の値段にかかわらずエレガントでスタイリッシュな着こなしを提案している。2016年「エレガントから作る」大人シンプルスタイルを発売。